工芸と暮らす
当店スタッフによる工芸品体験記
夫婦湯呑 華釉椿
上品で控えめ、でも美しい。
当店の商品の中でも
ご夫婦への贈り物にとっても人気の夫婦湯呑です。
最初に見た時は、九谷焼にしては少し地味かな?なんて思ったのですが、
九谷焼には珍しい控えめさ、でも絵付けの美しさもある。
そのバランスの良さがじわりじわりと人の心を掴んでいるのだと感じます。
生活にそっと寄り添ってくれる。そんなお湯呑です。
使ってみて感じるのは、まず手に馴染むこと。
ろくろと職人の手を使って作りあげられた形は指がピタッと馴染む「うね」があり、
このフィット感はずっと手に持っていたくなります。
ザラザラと気持ち良い肌触りも○。なぜこんなに気持ち良いのでしょうか?
また滑りにくそうで、持っていて安心感があります。
女の人の手にもちょうど良い少し小ぶりのサイズが可愛いです。
表面には何も描かれていません。
絵付けがあるのは、中なのです。
覗き込むと、ちらっと椿が見えるのです。
飲む瞬間はまさに綺麗な椿の華を独り占めしている気分になります。
内側は白いつるりとした釉薬が施されていますが、
均一ではなく濃淡があって土の色が見え隠れするのが、
職人が手作業で作る様子が脳裏に浮かんでくるようで、味わい深いなと思います。
お客さんで誰かの家に行った時、このお湯呑でお茶が出てきたら、
湯呑の中から徐々に姿を表す椿をまじまじと眺めてしまいそうです。
青椿と桃色椿の2種類の絵付けがセットになっているので、
まさにご夫婦で使うのに最適ですね。(写真は男性用の「青椿」)
中はつるりとしているので汚れも取りやすく、
また外側はざらりとした肌でとても水切れが良く、
その扱いやすさに毎日使いたくなります。
あったかいお茶を飲むなら今日も「これ」だなぁと、自然に手が伸びそう。
繊細な工芸品ですが食洗機も使えるとのこと。
忙しい主婦の方にはとってもありがたいのではないでしょうか。
唇に当たる感触も良いかんじ。
結構たっぷりと量が入るのに、生地が薄めなのでずっしりとしすぎないのが嬉しいです。
飲み口は徐々に薄くなっていて、自然に唇に馴染みます。
デザイン的な部分だけでなく、手の感触・洗い心地の良さ・飲み口の繊細さなど、
使っていて気持ち良いポイントが多く、湯呑としての総合力が高い!という印象です。
使えば使うほど、使う人のことをとても良く考えて作られている作品だと思います。
青良窯の作品は、どれも淡い絵付けの色合いと繊細さにうっとりします。
昭和34年から続く窯は石川県九谷にあり、
現代感覚に応える絵柄と形を探りながら、
研究を重ねた釉薬使いであの優美さの中にも重厚さが独特の絵付けを完成させています。
窯に実際行ってお会いしたことはないのですが、
きっとこのお湯呑の絵付けのように控えめで、繊細で、暖かい
人柄の方が作っているんだろうなぁ、なんて勝手に想像しています。
サイズの違いはこんな感じです。男女で使い分けても、
その日の気分にしてもどちらでも良さそうです。